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vol.19 表紙 2010 vol.19 夏

2010年6月5日発売
定価802円(税込)

田舎の本屋さんで購入する
市場パラダイス

もぎたての真っ赤なトマト。ピチピチ跳ねる魚。
3年もののばあちゃんの味噌。地粉のもっちりパン。あれもこれも欲しくなる。
近所のスーパーともみやげもの屋とも違う市場のわくわく感、これは何?
両手いっぱいに買ったものを抱えてでも、次の店に行きたくなる。
市場は買い物天国!

写真=高木あつ子、富井昌弘、武藤奈緒美

朝市、露天市へ行こう。
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西新リヤカー部隊

 ゆでた筍とツワブキを手にすると「筍とツワは一緒に煮たらダメ。それぞれで煮るんよ」と、元気な声でおばちゃんから忠告される。
 福岡市営地下鉄・西新駅から出てすぐの西新中央商店街には、午後になると屋根つきの行商のリヤカーがずらっと並ぶ。お花に干物、野菜に山菜、卵など、夕食のおかずもここでひと通りそろえられて便利。でも本当の魅力は、売り子のおばちゃん。買い物するには、おばちゃんとのおしゃべりは必然だ。

ここは田舎のデパート、農産物直売所
写真
産直市場グリーンファーム

 ずらりと並ぶ山のキノコ、鹿や猪肉に、蜂の子やザザムシの瓶詰め、竹籠や農作業着がぶら下がり、足元には錦鯉。ここでは伊那の山の幸から日用品までがそろう。さあ、どこから見ようか?
見落としがないように端から端まで探検したくなる。
 「リンゴは80歳のおばあちゃんがトラクターでもってきてくれた。野草は郵便局に勤める兼業農家が出勤前にとってくれた。この苗は…」と、それぞれのストーリーを教えてくれるのは、社長の小林啓治さん。もともと小林家は本屋だが、規格外の野菜や傷モノのリンゴを農家が畑に埋める姿を見かけ、何とかしたいと、16年前に父親がこの直売所を立ち上げた。いまでは伊那市周辺の生産者1500人が自慢の品々を持ってくる。

あたらしいかたちの市
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鬼子母神手創り市

 地べたにシートを広げ、モノを並べて…何だか、子どもの頃のお店屋さんごっこのよう。でも、並んでいるものはホンモノ。陶器の皿、リネンのクロス、フェルト小物…どれも出店者である作家が、自分の手でつくりあげたものたちだ。
 池袋・雑司が谷の鬼子母神と大鳥神社とで行なわれるこの市は、2006年に始まり、開催40回を超える。主催者の名倉哲さんは、もともとカフェの経営者。併設のギャラリーで作家の個展なども開いていたが、「もっと日常に近いところで、作品発表の場がつくれないかと考えたんです」。京都で20年以上続く「手づくり市」を知り、同じような場を東京にと、お寺の協力のもと鬼子母神で市を立ち上げた。

※「鬼」の漢字は、正しくは「鬼」の上の「ノ」がないもの。

ほか、土佐の日曜市、東京朝市アースデイマーケットなど、詳しくは、うかたまvol.19で!