「突撃!うかたま調査隊」は「うかたま」の新人編集部員が、気になることを調べるため各地にお邪魔させていただく、突撃訪問企画です。
文・写真=編集部
「うかたま」80号(2025年秋号) 掲載

わが家のタンスの中に着物と一緒にしまわれている足袋。年に数回、着物を着るときに履くだけ。普段から靴下みたいに履いてもいいものなのかな。足袋の一大産地だったという埼玉県行田市で足袋について職人さんに教えてもらえると聞き、会いに行ってきた!
訪ねたところ
足袋とくらしの博物館
埼玉県行田市行田1-2
営業時間:土・日10~15時 https://www.tabigura.net/tabihaku.html
「行田では江戸時代から足袋がつくられていて、最盛期の昭和13年には全国シェアの8割を生産するほどの産地だったんですよ」。そう教えてくれたのは、「足袋とくらしの博物館」を運営しているぎょうだ足袋蔵ネットワークの朽木宏さん。
行田は綿花栽培に適した環境で、以前はその素材となる綿布や染め物が特産だったそう。旅行客が行き来する街道が通っていたこともあり、足袋産業が栄えたのだとか。染色工場、ラベル製作を担う印刷業、箱屋、糸商、ミシン商、ミシンをつくるための鉄工場まで、関連産業も多く生まれた。現在も約30の関連企業が存在し、国内の足袋の約35%が生産される日本一の産地だ。

驚いたのは「足袋は防寒具なんですよ」という朽木さんの言葉。昔は素足に草履が一般的で、寒い時期にだけ足袋を履いていた。そのため、販売シーズンも寒い時期だったそう。和装にはつきものだと思っていたのに、防寒具だったとは。夏の間につくりためた足袋を保管した「足袋蔵」が、今でも市内に約70棟残っている。
この道70年という、職人の島崎さんと中島さんに、足袋づくりを見せてもらった。製作過程にはさまざまな道具が使われていて、ミシンだけでも9種類! 工程ごとに分業することで、生産効率を上げたのだそう。
足袋の留め具「こはぜ」をつけるためのミシン、かかと部分を丸く縫うためのミシンなどが並ぶ中で、一番技術が必要なのがつま先を縫い合わせるミシン。立体的な形にするため、細かいひだを寄せながら縫っていく。ひだの寄せ具合を調整するのがとても難しいそうだが、島崎さんは手慣れた様子ですいすい縫っていく。次々とミシンを変えながら、約30分で完成した。



今では季節関係なく、室内履きなどにカジュアルに使う人もいるそう。「丈夫だし、洗濯も気軽にできますよ」と朽木さん。締め付けないけど足にフィットするし、これは靴下と靴のいいとこどりなのでは…!? これからはたくさん履いてあげようと、わが家のタンスで出番を待つ足袋を思いながら、博物館を後にしたのだった。

調査報告!
足袋づくりを極めた職人さんの技と、特殊な道具の数々に圧倒された。
着物を着る特別なときのアイテムだと思っていたけど、今はもっと自由に、家でリラックスするときに履いたり、洋服と合わせてファッションとして取り入れる人もいるようだ。
私も普段から気軽に履いて、いろんな場面でもっと足袋を楽しみたい!

足袋履けば 私もおしゃれ 上級者!?
ぼくたちのこと、知ってる?
くわしく見てみる